九州発の伝統調味料、ゆず胡椒。
 今や全国に広く知られつつありますが、その一方で「鍋料理以外に、どうやって使えば良いか分からない...」「いつも冷蔵庫の隅で使い残してしまう...」
といった声も耳にします。
 ゆず胡椒にはどのような使い方があるのでしょうか。
 ゆず胡椒の歴史を紐解き、当店で取り扱うさまざまなタイプのゆず胡椒、さまざまな料理での楽しみ方など、奥深いゆず胡椒の魅力をご紹介します。

九州から全国へ ゆず胡椒ってなに?

 ゆず胡椒の起源には諸説あり、福岡県とも大分県日田市とも九州各地とも言われています。1950年代に福岡県英彦山の麓にある食堂が商品化していますが、どこが発祥の地なのか、はっきりしたことは分かっていません。
 やがて「九州のゆず胡椒」のおいしさがじわじわと広がり、2000年代以降、全国的に広く知られるようになりました。
 ところで、「胡椒」と言っても、黒胡椒や白胡椒が使われているわけではありません。九州の一部の地域で、「コショウ」とは唐辛子を指す古い呼び名。今でも、村のお年寄りの中には、唐辛子のことをコショウと呼ぶ方もいます。

 では、ゆずや唐辛子は、いつ頃から日本で作られているのでしょうか。
 ゆずは、中国の揚子江付近が原産地で、日本には平安時代頃に伝わり、全国に拡がったとされています。
 明治以降に栽培化が始まり、泉町でも中山間地の気候や地形を活かした農産物として1965年頃から本格的な栽培が始まりました。
 八代市泉町では、お茶に次いで生産量の多い農産物であり、ゆず胡椒やゆずポン酢、ゆずマーマレード、ゆずゼリーなど、さまざまなゆず加工品が作られています。

 唐辛子は、南アメリカが原産地。紀元前7,000年にはすでに食べられ、最も古くから利用されている香辛料の1つと言われています、
 その後コロンブスがヨーロッパへ持ち帰り、日本にはポルトガル交易を通して(豊臣秀吉が朝鮮出兵時に持ち帰ったとの説も)15~16世紀に伝わり、各地へ広がりました。
 江戸時代に平賀源内が描いたイラスト付きの唐辛子図鑑『番椒譜』(番椒とは薬学での唐辛子の呼び名)には、72種類もの唐辛子が紹介されています。

 ゆず胡椒は、「ゆず+唐辛子+塩」というシンプルな素材から生まれます。
 ゆずの果皮の表面に見える小さな粒(油胞)に香りの成分が含まれるため、ゆず胡椒作りでは、この果皮部分だけをすり下ろしたり、薄く包丁で剥いて刻んだりして使います。
 鮮やかな緑のゆず胡椒を作るには、素材の鮮度や塩分濃度も大切。塩が少ないと色が早めに変化してしまい、多過ぎると色は長く保つことができますが塩辛過ぎるゆず胡椒になってしまい、適度なバランスが大切になります。
 素材の旬に合わせて鮮度と風味を逃さないよう、手早く収穫加工し、ゆず胡椒は作られています。

青、赤、黄・・・色の違いはなぜ? 味は違うの?

 みなさんが最も一般的に多く目にするのは、「青」の柚子こしょうではないでしょうか。
 鮮やかな緑色のペースト状で、ほんの少し加えるだけで、さわやかなゆずの香気と、ピリッと鋭い辛味が口の中に広がり、適度な塩気とあいまって、お肉や魚、汁物など各種料理のおいしさをぐっと引き立てます。
 当ショップでご紹介しているゆず胡椒には、「青」(緑)のほかに、「赤」や「黄色」もあります。色の違いは、原料のゆずと唐辛子の違いによるものです。

 それぞれ同じように各種料理にお使いいただけますが、例えば、青ゆず胡椒は青ゆずならではさわやかな香味が特徴。
 赤ゆず胡椒は角の取れたややまろやかな風味、黄ゆず胡椒はとにかく辛さが際立つなど、それぞれに少しずつ風味の違いもあります。
 お客様の中には、自分の「お気に入り」を決めてお楽しみいただいている方、複数種類をそろえて料理ごとに使い分けていらっしゃる方も少なくないようです。

添えたり混ぜたり和えたり 使えこなせば万能調味料

 ゆず胡椒は、添える、付ける、醤油やたれに溶く、混ぜる、下味として揉み込むなど、少量加えるだけでゆずの香りと辛味、控えめな塩味が、料理を奥行きのある味わいに変えてくれます。
 ゆず胡椒には、抗酸化作用や免疫力維持につながるビタミンC、代謝や血行を促進するカプサイシンが含まれ、香りや辛味刺激によって食欲増進につながったり、減塩料理でも満足感を得やすいという一面もあります。

 定番の食べ方は、お味噌汁やそば、うどん、鍋料理、豚汁やだご汁に、薬味として少しだけ溶いて加えるというもの。そうめんのつゆや冷奴もおすすめです。
 ほんの少し加えるだけで、ゆずの香りとピリリとした唐辛子の辛みが味を引き締め、具材や汁の風味をさらにおいしく引き立たせてくれます。食事の途中で追加して、2種類の味の変化を楽しむのもいいですね。
 豚まんやおでんに添えると、和辛子とはまた違うおいしさを発見できます。

 肉や魚にもよく合い、おいしさを引き出してくれます。
 焼き鳥や蒸し鶏、焼肉、焼き餃子や水餃子、ステーキ、豚の角煮、トンカツなど、お肉に添えるとさっぱりした後味に。また、わさびの代わりに刺し身に添えたり、焼魚に添えるのもおすすめです。控えめながらしっかりした存在感で、主役の具材を引き立てます。

 ゆず胡椒は乗せたり添えたりの”薬味”としてだけではなく、肉の下味を付けたり、炒め物、ドレッシングなどに加える”調味料”としても大活躍します。
 手羽先に少量の酒と一緒にゆず胡椒を揉み込み、30分ほど置いてからグリルで焼くと、ビールやお酒にもよく合う「手羽先のゆず胡椒焼き」のできあがり。手軽ながら、居酒屋メニューのようなおしゃれな一皿が完成します。
 唐揚げの下味に使うと、ゆずの香り・唐辛子の辛味・塩気がちょうど良いバランスで、何度もリピートしたくなる味です。
 少し変わったところでは、ご飯に混ぜ込んだ「ゆず胡椒おにぎり」にも。
 それぞれ、加えるゆず胡椒の量はお好みに合わせて調整して下さい。

 ゆず胡椒は、和風や中華だけでなく、パスタなど洋食にも使えます。
 クリームベースにゆず胡椒を合わせた「ゆず胡椒クリームパスタ」や、にんにくや具材に最後にゆず胡椒を加えて炒めた「ゆず胡椒ペペロンチーノ」、アボカドを少量の醤油やオリーブオイルとゆず胡椒で和えた「アボカドゆず胡椒和え」、醤油・酢・オリーブオイル・塩各少量とゆず胡椒を合わせた「ゆず胡椒ドレッシング」、お刺身にかけた「ゆず胡椒風味カルパッチョ」など。
 ゆずの香り+唐辛子の辛さ+適度な塩味のバランスの良さを活かして、さまざまな料理でお楽しみいただけます。

もっと手軽においしく 広がるゆず胡椒商品

 当店では、青・赤・黄のゆず胡椒に加え、ゆず胡椒を使ったさまざまな商品をご紹介しています。
 「手軽にふりかけて使いたい」
 「醤油と合わせた、そのまま使える調味料がほしい」
 「ピザやカルパッチョなど、洋食でも楽しみたい」
 そんなお客様のご要望にお答えし、液体ゆず胡椒やゆず胡椒醤油、ゆず胡椒味噌だれ、ゆず胡椒オリーブオイルなど、ゆず胡椒の風味を手軽においしくお楽しみいただける商品を取り揃えています。

液体ゆずこしょう ゆずすぱ」は、言わば”和風タバスコ”。ゆず胡椒に、泉町産の100%ゆず果汁とこだわりの米酢を加えたもので、和洋中問わず、手軽にふりかけてお楽しみいただけます。ラーメンやちゃんぽんにもおすすめです。
「液体ゆずこしょう ゆずすぱ(黄)」は黄金唐辛子を使用したもので、激辛!です。
◯液体ゆず胡椒
 https://izumigoka.base.shop/categories/6558137

「柚子こしょう醤油」((株)いずみ)は、ゆず胡椒を醤油に溶いたもので、ぴり辛と激辛の2種類。
「柚子こしょう醤油だれ」(東山本店)は、ゆず胡椒を醤油・みりん・ゆず果汁・砂糖などに溶いたもの。開けてすぐに使えて、付けたりかけたりして楽しむ料理に便利です。
◯ゆず胡椒醤油
 https://izumigoka.base.shop/categories/6558165

柚子こしょう味噌たれ」は、ゆず胡椒を米味噌・ゆず酢・みりん・砂糖などで調味したもの。そのままきゅうりなど野菜に添えたり豆腐や焼きなすに乗せたり、酢で伸ばして酢味噌風にもお楽しみいただけます。
◯ゆず胡椒味噌
 https://izumigoka.base.shop/categories/6766664

赤柚子胡椒オリーブ」は、ゆず胡椒を良質なオリーブオイルに漬け込んだもの。冷奴や蒸し料理、パスタ、野菜、刺し身などにそのままかけたり、酢や砂糖を加えてドレッシングやカルパッチョソースの材料としてもお使いいただけます。
◯柚子こしょうオリーブ
https://izumigoka.base.shop/items/112618188

 このほかにも、泉町産ゆずと唐辛子の風味をお楽しみいただける粉末調味料として、ゆず皮+唐辛子の「ゆず一味」、ゆず皮と唐辛子に陳皮、ごま、麻の実などを加えた「ゆず七味」もございます。
◯ゆず一味・ゆず七味
https://izumigoka.base.shop/categories/6558168

 当店のゆず胡椒は、常温で保存いただけます。
 ただし、ゆず胡椒は、紫外線や酸化により、時間の経過とともに色が少しずつ変わり、くすんだ色味へ変化します。またゆずの香り成分であるリモネンは揮発性で、空気に触れることで徐々に薄まります。
 未開封で長く保存する場合は冷蔵や冷凍に保管し、開封後は冷蔵庫に入れ、なるべく早めに使い切っていただくことをおすすめします。
 
 毎日の食事やいつもの調味料に、ゆず胡椒をほんの少し加えるだけで「おいしい!」がぐんと広がります。
 あなただけのお気に入りのゆず胡椒、味わい方を見つけて、おいしい時間をどうぞお楽しみ下さい。